日焼け止めを塗るのは分かった。帽子もサングラスも分かった。
でも、体の内側からできることはないのか。
塗るのが面倒な人ほど、この発想にたどり着きます。飲むだけで対策できるなら、それが一番楽だからです。
結論から言うと、あります。ただし期待している形とは少し違います。 そしてこの分野は、宣伝と実態のギャップが最も大きい領域でもあります。順番に整理します。
結論を先に
- 「飲めば塗らなくていい」という選択肢は存在しません
- 販売している企業側も、塗る対策との併用が前提だと明記しています
- 内側からの対策には、サプリ以外に食事という選択肢もある
- 塗る対策を習慣にしていない人が、サプリから始めるのは順番が逆
まず、期待値を正しておく
この分野で最初に理解しておくべきことがあります。
塗る日焼け止めの代わりになるものは、現時点でありません。
これは批判的な立場の人だけが言っているのではありません。関連商品を販売している企業側も、塗る日焼け止めの代替にはならず併用が前提である点を明記しています。賛成側と反対側の意見が一致している、珍しい論点です。
したがって、この記事で扱うのは「塗る代わり」ではなく「塗ったうえでの上乗せ」の話になります。
ここを取り違えると、対策をしているつもりで無防備、という最悪の状態になります。
内側からの対策には、2種類ある
ひとつずつ見ていきます。
1. 食事
もっとも地味で、もっとも軽視されている選択肢です。
抗酸化作用を持つとされる成分は、特別なサプリでなくても日常的な食品に含まれています。
- ビタミンC:野菜、果物
- ビタミンE:ナッツ類、植物油
- カロテノイド類:緑黄色野菜、トマト、鮭など
アスタキサンチンも、鮭やイクラ、エビやカニの殻に含まれる天然の色素です。サプリでしか摂れない特殊な物質ではありません。
食事の良いところは、お金がかからず、法的な話も一切絡まず、副作用の心配もほぼない点です。派手さはありませんが、リスクがありません。
2. サプリメント(機能性表示食品)
ここから話がややこしくなります。
紫外線対策をうたったサプリは実在します。ただし、それらは「機能性表示食品」という制度のもとで、消費者庁に届出をした商品です。
そして重要なのは、届出は国による個別の審査ではないという点です。事業者の責任において届け出るもので、特定保健用食品(トクホ)のように消費者庁長官の審査を通ったものではありません。この違いは、商品のパッケージにも明記されています。
「国が認めたサプリ」という理解は、正確ではありません。
制度の詳細は別記事で扱っています。
なぜ「飲む日焼け止め」と呼んではいけないのか
この分野を調べていると、ある呼び方に頻繁に出会います。ただ、この表現は使えません。 法律上の問題があります。
理由と背景は、専用の記事で詳しく扱っています。呼び方ひとつに規制がかかっている、という事実自体が、この分野の性質をよく表しています。
研究はどこまで進んでいるのか
アスタキサンチンについては、ヒトを対象にしたランダム化二重盲検プラセボ対照試験も存在します。研究デザインとしてはしっかりした部類です。
ただし、被験者は合計22人でした。意味のない研究ではありませんが、決着がついたと言える規模ではありません。
海外では、飲用タイプの日焼け対策製品について、アメリカのFDAが、紫外線防止効果の科学的根拠が乏しいにもかかわらず日焼けを防止すると宣伝しているとして複数のブランドに警告文を送っています。
この点は専用の記事で詳しく扱っています。
では、どうすればいいのか
優先順位で考えます。
| 順位 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 塗る対策を習慣にする | 効果がはっきりしており、公的資料も予防可能と明言している |
| 2 | 帽子・サングラス・日陰 | 塗り直し不要で、効果の数字も出ている |
| 3 | 食事を意識する | コストゼロ、リスクなし |
| 4 | サプリを検討する | ここまでやったうえで、まだ足りないと感じる場合 |
4番から始める人が多いのが、この分野の問題です。理由は単純で、そこにだけ広告費がかかっているからです。
食事と帽子には、誰も広告を出しません。儲からないからです。結果として、最も費用対効果の高い選択肢が、最も情報として届きにくくなっています。
サプリを検討してよい人、そうでない人
はっきり書きます。
検討する意味がある人
- すでに日焼け止めを習慣的に塗っている
- そのうえで、塗り直しがどうしてもできない環境にいる
- 頭皮や耳の裏など、塗りにくい場所が気になっている
- 屋外にいる時間が長い
今は不要な人
- 日焼け止めをまだ習慣にできていない
- 屋内勤務で、外出が少ない
- 「塗るのが面倒だから、飲む方で済ませたい」と考えている
最後の項目が、この記事で一番伝えたいところです。塗る代わりにはならないので、その動機では目的を達成できません。
面倒くさがりな男性なら、最低限これだけ
【最低限】
- 「飲めば塗らなくていい」ものは存在しない、と知っておく:これだけで無駄な出費を避けられます
- 鮭や緑黄色野菜を、食事から完全に排除しない
【もう少しやるなら】
- 塗る対策を先に習慣化する
- 帽子など、塗らない手段を組み合わせる
【さらにやるなら】
- 制度と研究の現状を理解したうえで、サプリを検討する
- 検討する場合は、機能性表示食品かどうかと、届出内容を自分で確認する
まとめ
- 内側からの対策は存在するが、塗る代わりにはならない
- これは賛成側も反対側も一致している
- サプリの前に、食事という選択肢がある
- 機能性表示食品の「届出」は、国の個別審査ではない
- 塗る対策が先。順番を間違えない
急いでサプリを買う必要はありません。まずは塗る対策と食事から始めてください。
次に読む記事
- 「その呼び方が使えないって、どういうこと?」 → 「飲む日焼け止め」と呼ばれるものの正体
- 「機能性表示食品って何?」 → 機能性表示食品とは?届出と審査の違い
- 「アスタキサンチンの研究はどうなの?」 → ビタミンEの1000倍って本当?アスタキサンチンの正体
- 「まず塗る方を固めたい」 → 男性に日焼け止めは必要?
参考資料
- 消費者庁「機能性表示食品について」
- 肌のクリニック「飲む日焼け止めの効果はないに等しい」
- Ito N, Seki S, Ueda F. The Protective Role of Astaxanthin for UV-Induced Skin Deterioration in Healthy People. Nutrients. 2018
本記事は一般的な情報の紹介を目的としており、特定の商品や成分の効果を保証・断定するものではありません。健康状態に不安のある方、治療中の方、薬を服用中の方は、サプリメントの摂取について医師にご相談ください。


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