「飲む日焼け止め」と呼ばれるものの正体

紫外線対策

紫外線対策を調べていると、必ず目にする言葉があります。

「飲む日焼け止め」

分かりやすい呼び方です。塗るのが面倒な人にとっては、響きだけで魅力的に聞こえます。

ただ、この記事のタイトルで、私はその言葉をカギカッコに入れました。理由があります。

この呼び方は、法律上使えません。

商品が悪いという話ではありません。呼び方そのものに問題があります。そして、この一点を知るだけで、この分野の情報の見え方がかなり変わります。

結論を先に

  • 「飲む日焼け止め」という表現は、薬機法に抵触するとされている
  • 言い換えて連想させることも同様に問題になる
  • それでもこの言葉が広まっているのは、分かりやすくて売れるから
  • 大手企業ほど、この言葉の使い方に慎重になっている

なぜ使えないのか

理由は、日本の法律における「食品」の扱いにあります。

日焼け止めは、化粧品または医薬部外品です。一方、飲むタイプの製品は食品(サプリメント)です。カテゴリーがまったく違います。

そして食品は、身体の特定の部位への効果や、機能の改善を暗示する表現ができません。 これは薬機法(医薬品医療機器等法)で定められています。

「日焼け止め」という言葉は、日焼けを止めるという効果を明確に示しています。食品にこの名前を付ければ、食品が医薬品的な効果を持つかのように表示していることになります。

言い換えても同じ

ここが重要な点です。

「飲む日焼け止め」がダメなら「インナーUVケア」ならいいのか、という発想が出てきます。しかし、別の言葉に置き換えて同じ効果を連想させる表現も、同様に問題になるとされています。

つまり、単語を変えて逃げることはできません。

規制されているのは、企業だけではない

もう一つ知っておくべきことがあります。

薬機法の広告規制の対象は「何人も」です。つまりメーカーだけでなく、個人のブロガーやアフィリエイターも対象になります。2021年8月には課徴金制度も加わりました。

「自分は売っているわけではなく、紹介しているだけ」という理屈は通りません。

この記事で私が慎重に書いているのも、同じ理由です。

では、なぜこの言葉は広まっているのか

理由は単純です。分かりやすくて、売れるからです。

「紫外線刺激から肌を保護するのを助ける機能性が報告されているサプリメント」と書くより、「飲む日焼け止め」と書いた方が、圧倒的に伝わります。検索もされます。

結果として、この言葉は通販サイトの商品名、まとめ記事、SNSの投稿などに広く残っています。規制があることと、実際に使われていないことは、別の話です。

大手企業の書き方を見ると分かる

面白いのは、規制を意識している企業ほど、書き方が慎重になる点です。

大手メーカーの中には、「飲む紫外線対策」という表現を使いつつ、必ず注釈を付けている例があります。「※紫外線刺激から肌を保護するのを助ける成分の機能性のこと」といった形で、何を指しているのかを明示するやり方です。

一方で、通販サイトの商品名には「飲む日焼け止め」がそのまま並んでいることもあります。

この差を見分けられるようになると、情報の質を判断しやすくなります。 表現に慎重な企業は、たいてい他の部分でも正確です。逆に、法的にグレーな呼び方を平気で使っている情報源は、他の記述も雑である可能性があります。

呼び方以前に、そもそも何なのか

法律の話が続いたので、実態の話に戻ります。

これらの製品は、抗酸化作用を持つとされる成分を含んだサプリメントです。代表的なのはアスタキサンチンで、鮭やイクラ、エビやカニの殻に含まれる天然の色素です。

そして、紫外線対策をうたっている商品の多くは「機能性表示食品」として、消費者庁に届出をしています。届出をした商品は、届け出た文言の範囲でなら機能を表示できます。

ただし、届出は国による個別の審査ではありません。ここは誤解されやすいので、別記事で詳しく扱っています。

一番大事なこと:塗る代わりにはならない

呼び方の問題を超えて、実質的に最も重要な点です。

これらの製品は、塗る日焼け止めの代わりにはなりません。

販売している企業側も、塗る対策との併用が前提であると明記しています。批判する側だけでなく、売る側もそう言っています。

海外では、飲用タイプの日焼け対策製品について、アメリカのFDAが、紫外線防止効果の科学的根拠が乏しいにもかかわらず日焼けを防止すると宣伝しているとして、複数のブランドに警告文を送っています。

国内でも、皮膚科医の中には、実用的な日焼け止めとしてはほとんど役に立たないと明確に述べている医師がいます。

「飲む日焼け止め」という呼び方の最大の問題は、法律違反であること以上に、「飲めば塗らなくていい」と誤解させることかもしれません。

この話から学べること

呼び方ひとつに規制がかかっている、という事実は、この分野の性質をよく表しています。

  • 効果がはっきりしていれば、規制する必要はありません
  • 誤解を招きやすいからこそ、表現に制限がかかっています

規制の強さは、その分野の不確かさを映しています。 塗る日焼け止めについて、こうした呼び方の議論は起きていません。効果が確立しているからです。

面倒くさがりな男性なら、最低限これだけ

【最低限】

  • 「飲む日焼け止め」と書いてある情報源は、やや割り引いて読む:法的にグレーな表現を使っている時点で、他の記述も慎重でない可能性があります
  • 飲んでも塗る必要はなくならない、と覚えておく

【もう少しやるなら】

  • 商品を見るとき、表現に注釈が付いているかを確認する
  • 機能性表示食品かどうかを確認する

【さらにやるなら】

  • 届出内容を、消費者庁のデータベースで自分で確認する

まとめ

  • 「飲む日焼け止め」という表現は薬機法に抵触するとされている
  • 言い換えて連想させることも同様
  • 規制対象は「何人も」で、個人ブロガーも含まれる
  • それでも広まっているのは、分かりやすくて売れるから
  • 表現に慎重な情報源ほど、信頼できる傾向がある
  • そして何より、塗る代わりにはならない

呼び方の話から入りましたが、結論は結局ここに戻ります。塗る対策が先です。

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参考資料


本記事は一般的な情報の紹介を目的としており、特定の商品の効果を保証・断定するものではありません。また、法令の解釈について個別の判断を示すものではありません。健康状態に不安のある方は、サプリメントの摂取について医師にご相談ください。

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