日焼け止めを塗っている人に、ちょっと残酷な話をします。
塗っているのに効いていない、という状態がありえます。 商品が悪いわけでも、あなたのやる気が足りないわけでもありません。単純に、量です。
この記事では、公的な資料が示している目安量と、多くの人が実際に塗っている量のギャップを扱います。商品の紹介はしません。今持っている日焼け止めの塗り方を変えるだけの話です。
結論:目安は「1円玉大を2回」
環境省の「紫外線環境保健マニュアル2020」に、顔に塗る場合の具体的な目安が示されています。
手のひらに1円玉を置いたくらいの面積が埋まる量を、2回に分けて重ねづけする。
ポイントは2つあります。
- 1円玉大という、思ったより多い量
- 2回に分けて重ねるという、思ったより多い回数
つまり実質、1回の外出前に1円玉大を2回分です。ここで多くの人が「そんなに?」と驚きます。その驚きこそが、今まで足りていなかった証拠でもあります。
なぜ量が足りないと意味が薄れるのか
日焼け止めのパッケージに書かれているSPFやPAの数値は、規定された量を塗った条件で測定されたものです。試験条件より薄く塗れば、当然その数値どおりにはなりません。
ここが厄介なところで、塗った本人には分からないのです。塗った感覚も、見た目も、薄くても濃くてもそれほど変わりません。「ちゃんと塗った」という満足感だけが手元に残ります。
高いSPFの商品を選ぶことに気を使う人は多いのに、量については誰も教えてくれません。SPF50を薄く塗るより、SPF30を規定量塗る方が、実際の守りは厚くなる可能性があります。商品を替える前に、量を直す。 これが順番として正しいはずです。
塗り方のコツ:一気に伸ばさない
環境省の資料では、塗り方についても具体的な方法が示されています。
額・鼻・両頬・アゴに分けて置いてから伸ばすと、塗りムラを避けやすいとされています。
手のひらに出して顔全体に一気に広げると、最初に触れた場所に多くつき、最後の方が薄くなります。5か所に置いてから伸ばすやり方なら、この偏りが起きにくくなります。
余計な工程が増えるように見えますが、実際には数秒の違いです。
忘れやすい場所
環境省の資料では、日光にさらされやすい場所として鼻の頭・肩・背中の上部を念入りに塗るよう挙げられています。
顔まわりで実際に忘れられがちなのは、このあたりです。
- 鼻の頭(顔の中で最も前に出ていて、最も日光を受ける)
- 耳(存在ごと忘れられる代表格)
- 首の後ろ(自分で見えないため確認しようがない)
- フェイスライン・アゴの下(顔だと思っていない領域)
- 手の甲(顔だけ守っても、ここは無防備なことが多い)
耳と首の後ろは、鏡で見えないという理由だけで忘れられます。人からは、むしろよく見えている場所です。
目の周りは、どうしても薄くなる
日焼け止めを塗るとき、目にしみるのが怖くて目の周りだけ薄くなる。これは多くの人がやっています。
気持ちは分かりますが、目元は顔の中でも皮膚が薄く、変化が出やすい部位です。しみにくいタイプの製品を選ぶ、サングラスを併用するなど、別の手段で補う考え方もあります。
サングラスについては、紫外線防止効果のあるもので最大90%カットできるとされています。塗りにくい場所を無理に塗るより、別の方法で守る方が現実的な場合もあります。
体に塗るときは、さらに量が必要
顔の話を中心にしてきましたが、腕や首、脚まで塗る場合は当然もっと必要になります。
環境省の資料では、日光にさらされやすい場所として鼻の頭のほかに肩と背中の上部が挙げられています。夏場にTシャツで屋外にいる場合、この2か所は無防備になりがちです。
体に塗るときのコツは、顔と同じで一気に広げないことです。線を引くように何本か置いてから伸ばすと、ムラが減ります。手のひらで一度に広げようとすると、最初に触れた場所だけ濃くなります。
なお、自分では背中に手が届きません。屋外で長時間過ごす予定がある日は、スプレータイプを併用するか、襟のあるシャツを着るという判断もあります。塗れない場所は、覆う。 これは合理的な割り切りです。
「そんなに使ったら、すぐなくなる」問題
正しい量で塗ると、当然ながら消費は早くなります。これは事実です。
ただ、ここは考え方の問題でもあります。1本を長持ちさせて薄く塗り続けるのは、節約しているようで、実は効果ごと節約している状態です。
現実的な着地点としては、
- 大容量タイプや詰め替えがある製品を選ぶ
- 高価な1本を大事に使うより、続けられる価格帯のものを切らさず使う
このあたりになります。日焼け止めは記念品ではなく消耗品です。減るのが正常です。
面倒くさがりな男性なら、最低限これだけ
【最低限】
- 今使っている日焼け止めを、いつもの倍くらい出してみる:たいていそれで適量に近づきます
- 鼻の頭と耳を意識する:忘れやすさランキングの上位です
【もう少しやるなら】
- 5か所(額・鼻・両頬・アゴ)に置いてから伸ばす
- 首の後ろと手の甲まで広げる
【さらにやるなら】
- 大容量・詰め替えありの製品に切り替えて、量を気にせず使えるようにする
- 塗り直しの習慣を検討する
まとめ
- 顔の目安は1円玉大を2回(環境省)
- SPFの数値は、規定量を塗った条件での測定値
- 商品を替える前に、量を直す方が先
- 5か所に置いてから伸ばすとムラが減る
- 鼻の頭・耳・首の後ろ・手の甲が忘れられやすい
今日から追加の出費なしでできる改善です。まずは、いつもの倍出してみてください。
次に読む記事
- 「そもそも自分に必要なの?」 → 男性に日焼け止めは必要?
- 「塗り直しまでは無理なんだけど」 → 日焼け止めの「2〜3時間おきに塗り直し」は現実的か?
- 「塗らずに済ませる方法は?」 → 日焼け止め以外の紫外線対策
- 「SPFの数字はどう選べばいい?」 → 日焼け止めのSPFとPAの違いは?
参考資料
本記事は一般的な情報の紹介を目的としており、特定の商品の効果を保証・断定するものではありません。肌に異常を感じた場合は使用を中止し、皮膚科などの専門機関にご相談ください。


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